ラグビー日本代表に外国人が多い理由と代表資格の条件
ラグビー日本代表が注目される度に必ず話題になるのが、ラグビー日本代表の外国人問題。
「日本代表なのに外国人が多い」と批判の対象になるんだけど、これにはラグビー独特のルールがあるからなんだよ。
今回は、何故ラグビー日本代表に外国人が多いのかを説明するね。
代表になる資格
まず、日本をはじめ各国の代表になるには、ワールドラグビー(国際統括団体)が定めた条件をクリアする必要があるんだ。
他国での代表経験がないというのが前提だけど、下記条件のうち1つでもクリアできれば、例え日本国籍を取得していなくても日本代表になることができるんだよ。
当該国で出生している
生まれた国が、当該国(ここでいう日本)なら、国籍が他にあっても日本代表になる資格があるよ。
両親、祖父母のうち1人が、当該国で出生している
自身が当該国で生まれていなくても、両親、祖父母のうち1人が当該国で生まれていたら、日本代表になる資格があるよ。
36ヶ月間継続して当該国を居住地としている
プレーする直前の36ヶ月間、継続して当該国に居住していれば、日本代表になる資格があるよ。
※ 2020年12月31日より、36ヶ月(3年)から60ヶ月(5年)に変更
累積で10年間当該国に居住している
プレーする直前に36ヶ月間継続して当該国に居住していなくても、累積で10年間当該国に居住している場合は、日本代表になる資格があるよ。
代表資格がこのようになった背景
上記で説明した代表資格の条件だけど、このようになった背景は大英帝国時代にさかのぼるんだ。
当時の大英帝国(イギリス)は世界中に植民地を広げていったんだけど、それと同時にイギリス発祥のラグビーも各国に伝わっていったよ。
その中には「ニュージーランド」や「オーストラリア」「南アフリカ」もあり、イギリスの植民地だったことからラグビーが盛んになったんだ。
そしてこれらの国には、ラグビーを伝えたイギリス人(移住者)が住んでいるよね。
そこで、国籍関係なく移住したイギリス人でも当該国の代表になれるよう、このようなルールになったといわれているんだよ。
だからラグビーの日本代表は、「日本人の代表」ではなく、「日本でプレーする(日本協会に所属する)ラグビー選手の代表」と考えれば理解しやすいんだ。
各国代表の海外出身者
今でもそのルールが受け継がれているラグビーだけど、日本代表だけでなく他国の代表も海外出身者は多いんだよ。
例えば、2015年のラグビーワールドカップ。
1チーム31人のメンバー登録者数に対して、各チームの海外出身者数は下記の通りなんだ。
サモア(13人 )
ウェールズ(12人)
トンガ(12人)
スコットランド(11人)
日本(11人)
フランス(10人)
オーストラリア(9人)
イタリア(9人)
アメリカ(9人)
アイルランド(7人)
ニュージーランド(6人)
カナダ(6人)
ルーマニア(4人)
イングランド(3人)
フィジー(3人)
ナミビア(2人)
ジョージア(1人)
南アフリカ(1人)
ウルグアイ(1人)
アルゼンチン(0人)
日本代表は、外国人との「見た目」や「名前」に違いがあるから目立ってしまうだけで、上記を見ればわかる通りラグビーではごく当たり前のことなんだよ。
だから「日本代表だけ外国人ばかり」みたいなことはもう言わないでね。
おわりに
そして最後に大事なことをひとつ。
冒頭で、日本代表になるには他国での代表経験がないことが前提とお伝えしたけど、これを言い換えると「日本代表になった人はもう二度と母国の代表になれない」ということになるよ。
これって日本を愛していないとできないことだし、例え愛していても「覚悟」がなければできないことだよね。
日本代表の名キャプテンである「リーチ・マイケル」選手は、出身国であるニュージーランド代表「オールブラックス」になることが夢で、実力的にも不可能ではなかったのに愛する日本を選んでくれたんだ。
日本の学校に通い、歴史や文化を学び、国歌を覚え、日本のために命をかけて戦ってくれているんだよ。
もう日本人以上に、日本人だよね。他の選手もみんな一緒。
これからは多様性の時代だから、日本人か外国人かで判断するのではなく、日本という国の代表として戦ってくれる代表選手をみんなで応援しようね!
居住歴を代表資格にしたのは、植民地に移住したイギリス人が当該国の代表になるためではなく、
もともとラグビーは「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」「アイルランド」の4協会の対抗戦であり、出生者しか代表選手なれないと、植民地で生まれた「イギリス人」が出場できないので、居住実績も資格にいれたのではないでしょうか。