50:22【ラグビールール上級編】

今回は、2021年8月から採用されているラグビーの新ルール(試験実施ルール)、50:22について説明するよ!
「ごじゅったい にじゅうに」や「ごじゅう にじゅうに」と読みたいところだけど、世界的には「フィフティ・トゥエンティトゥ」と呼ばれているんだ。
この50:22(フィフティ・トゥエンティトゥ)は、自陣から蹴ったボールが敵陣22mラインを超えて間接的にタッチラインの外に出るキックのことをいうよ。
本来であれば「相手ボール」のラインアウトで始まるところ、この新ルールではキックをしたチーム(マイボール)のラインアウトで試合が再開するんだ。
これからイラストを用いてわかりやすく解説していくね!

50mラインと22mライン

まず、50:22とは、その名前の通り「50mライン」と「22mライン」が深く関わってくるよ。
50mラインとは、いわゆる「ハーフウェイライン」のことで、22mラインは「敵陣22mライン」のこと。
下記のイラストでは、赤い線が50mライン青い線が敵陣22mラインなんだけど、50:22はこれらの線をまたぐキックであることからこの名称が名付けられたんだ。

50:22の成立条件

この50:22は、蹴ったボールを必ず地面に1バウンド以上させてから外に出さないといけないよ。
これをラグビーでは「間接的」と表現するんだけど、ボールが地面に触れず「直接」タッチラインの外に出てしまった場合は、蹴った位置によって「ダイレクトタッチ」という反則になってしまうから注意が必要なんだ。


ちなみに、地面にバウンドさせる場所は、敵陣22mラインより「手前」でも「奥」でもどちらでもOK。
大事なのは、赤色のエリアで蹴って、青色のエリアでボールを外に出すことなんだ。



なぜこの新ルールが追加されたのか

この50:22というルールは、もともと「ラグビーリーグ(13人制ラグビー)」にあったルールなんだけど、なぜ今回「ラグビーユニオン(15人制ラグビー)」でも採用されることになったのか。
それは下記の2つの狙いがあるとされているよ。

攻撃スペースを作るため

近年のラグビーでは、ディフェンスのラインスピードが速くなっている(ディフェンス力が向上している)ことから、攻撃スペースを作ることが難しくなってきているんだ。
攻撃スペースを作れないと、なかなかトライが生まれない。
ロースコアの試合も緊迫して面白いけど、やっぱり「トライシーン」は頻繁にあった方が盛り上がるよね!
そういった観点から、この新ルールが導入されたよ。
この新ルールを追加することで
➀ディフェンス側は50:22を防ぐために、後方のスペースを守る必要ができた
➁そのため、前方でディフェンスに参加している選手を後ろに下げなければいけない
➂アタック側に攻撃スペースが生まれる
➃トライが発生しやすくなり、観ていて楽しいラグビーとなる
こういった意図があって、この50:22という新ルールが導入されたんだ。

キック捕球者が危険なタックルにさらされる機会を減らすため

もうひとつの目的は、キック捕球者が危険なタックルにさらされる機会を減らすため。
近年のラグビーでは、ハイパントキック(高いキック)を蹴ってボールを競り合ったり、キャッチする瞬間に合わせてタックルに入ったりなど、キック捕球者が「危険なタックル」にさらされる機会が増えてしまっているんだ。
もちろん、ジャンプ中にはタックルをしてはいけないなど、できる限り選手の安全面が考慮されているんだけど、ラグビーはコンタクトスポーツであるがゆえに常に危険とは隣り合わせ。
そういった怪我のリスクを減らすためにも「50:22」が導入されたよ。
この50:22があることで、攻撃側はロングキック(長いキック)を狙う場面が増え、結果として「ハイパント時の怪我リスク」を減らすことができると考えられたんだ。

50:22にならないケース

これまでに説明した50:22だけど、注意しなければいけないポイントが1点あるよ。
それは、50:22を行なうためにボールを自陣に「パスバック」「キャリーバック」してはいけないということ。
50:22は、50メートルラインより「自陣側」から蹴る必要があるということは前述した通りだけど、それを行なうために、わざわざ敵陣から自陣に戻ることは禁止されているんだ。
そのため、50:22を行なうためには自陣からフェーズを開始する必要があるよ。

ちなみに「敵陣」でラインアウトやスクラムがあった場合、ボールを受け取ったキッカーの位置が例え自陣であっても、これは「パスバック」となるから気を付けてね。
一方、センタースクラムやラインアウトは自陣扱いとなるため、ボールを受け取ったキッカーは「50:22」を狙っても問題はないよ!

まとめ

以上が、2021年8月に導入された新ルール、50:22(フィフティ・トゥエンティトゥ)だよ。
この50:22が導入されたことで、キックの精度が今まで以上に求められるようになったのはもちろんのこと、ラインアウトの重要性も更に高まったんだ。
特に「ラインアウトモール」が強いチームにとって、この新ルールはかなり有利だと言えるよ。
まだ導入されて間もないため、50:22が見られる機会はそれほど多くないけど、これからは是非注目して見てみてね!



関連記事一覧

  1. サカナちゃん

    とてもわかりやすいです!!!
    50:22を狙って蹴っても、ボールが思う方向に跳ねるとは限らないのがまた面白そうです!見てる側としては 笑
    質問ですが、青のスペースを超えてゴールランより先の位置でボールが出たらどうなるんですか??

    • RAGAMARURAGAMARU

      サカナちゃん、コメントありがとラガ!
      わかりやすいと言ってもらえてうれしいラガー♪
      青のスペースを超えて「インゴール」でボールが外に出た場合は、相手のドロップアウト(22mライン内からのドロップキック)、またはボールが蹴られた地点でのスクラムを選択できるラガよ!