ラグビー世界ランキングの決め方とその計算方法
今日は、ラグビーの「世界ランキング」の決め方と、その計算方法について解説するよ!
多くのスポーツには「世界ランキング」といって、実力や実績をもとにどの国が強いのかランキングが付けられているんだけど、ラグビーにもその世界ランキングがあって、ワールドラグビーという国際競技連盟が発表しているんだ。
この世界ランキングは2003年9月から導入されており、ワールドラグビーの公式サイトで随時更新されているよ。
※2021年末の世界ランキング(ワールドラグビー公式サイトより)
これを見れば、どの国が「今」強いのか一目瞭然なんだけど、どうやって決められているのか気になるよね。
実はラグビーの世界ランキングの計算方法は超複雑で、単純に勝敗だけで決められているわけではないんだ。
ラグビーの世界ランキングはポイント交換制
まず、ラグビーの世界ランキングは「ポイント交換制」となっているよ。
ポイント交換制とは、簡単にいえば勝ったチームが敗けたチームのポイントを奪うことができるシステム。
上記画像の国名の右側に「点数」が表示されていると思うんだけど、この点数が各国のポイントで、数字が高ければ高いほど「強さ」を意味しているんだ。
下限は0点、上限は100点。
これまでの最高得点は「96.57点」で、2016年10月にニュージーランド代表(オールブラックス)が記録したよ。
ポイントは国同士の対戦後に変動
このポイントだけど、国と国(ナショナルチーム)の対戦後に変動する仕組みとなっているんだ。
例えば、毎年6月と11月に開催される「テストマッチ」や、シックスネーションズ・ラグビーチャンピオンシップといった「国際大会」、4年に1度開催される「ラグビーワールドカップ」で大きく変動するよ。
ではこれから、奪い合うポイントの計算方法について詳しく解説していくね!
ポイントの計算方法
ラグビーの世界ランキングでは、実力が拮抗した国同士の試合なのか、そうでない試合なのか、ホームでの試合なのか、アウェイでの試合なのかで得られるポイントが変わってくるんだ。
ポイントの同じ国同士が対戦した場合
まず、ポイントの同じ国同士が対戦した場合。
この計算方法は簡単で、勝ったチームが+1ポイント、負けたチームが-1ポイント増減するよ。
勝利したチームは相手チームから1ポイント奪えると考えればわかりやすいかな。
引き分けの場合は、ポイント変動なし。
もし、同じポイントのA国(80点)とB国(80点)が対戦し、A国が勝利した場合は下記のようになるよ。
A国 | B国 | |
対戦前 | 80点 | 80点 |
対戦後 | 81点(+1) | 79点(-1) |
でも、上記ランキングを見ればわかる通り、同じポイントの国って中々ないよね。
多くの場合は、ポイント差がある国同士の対戦となるんだ。
ポイントに差がある国同士が対戦した場合
ポイントに差がある国同士が対戦した場合、ラグビーでは上位国が勝利する確率が高いため、ポイントの増減が調整されているよ。
もし、世界ランキング1位の国と、世界ランキング20位の国が10回対戦した場合、ラグビーでは世界ランキング1位の国が「全勝」する確率は極めて高く、そうすると簡単に100点に到達してしまうよね。
もちろん、現実的にはそのような試合が組まれることはほとんど無いんだけど、そういったことを防ぐために、ポイント差がある国同士の試合は下記の計算方法が使用されるんだ。
ポイントの高い国(上位国)が | |
勝った場合 | 1-(0.1×ポイント差) 獲得 |
引き分けの場合 | (0.1×ポイント差) 失う |
負けた場合 | 1+(0.1×ポイント差) 失う |
ポイントの低い国(下位国)が | |
勝った場合 | 1+(0.1×ポイント差) 獲得 |
引き分けの場合 | (0.1×ポイント差) 獲得 |
負けた場合 | 1-(0.1×ポイント差) 失う |
この計算式を見てもサッパリわからないと思うので、例に挙げて説明するね!
例えば、ポイントが80点のA国と、75点のC国が対戦し、A国が勝利した場合は下記のようになるよ。
ポイント差=5点 | A国 | C国 |
対戦前 | 80点 | 75点 |
計算式 | 1-(0.1×5点)=0.5 | 1-(0.1×5点)=0.5 |
対戦後 | 80.5点(+0.5) | 74.5点(-0.5) |
A国にとっては、相手(C国)から「0.5点」を奪った形になるんだ。
一方、同条件で下位国のC国が勝利した場合、ポイントは下記のようになるよ。
ポイント差=5点 | A国 | C国 |
対戦前 | 80点 | 75点 |
計算式 | 1+(0.1×5点)=1.5 | 1+(0.1×5点)=1.5 |
対戦後 | 78.5点(-1.5) | 76.5点(+1.5) |
上位国の「A国」が勝利しても0.5点しか獲得できなかったのに、下位国の「C国」が勝利すれば1.5点も得られるんだ。
ポイント差「10点以上」の国同士が対戦した場合
では仮に、ポイントが80点のA国と、70点のD国が対戦し、A国が勝利した場合はどうなるのか、計算してみるね。
ポイント差が10点以上になると、下記のようになるんだ。
ポイント差=10点 | A国 | D国 |
対戦前 | 80点 | 70点 |
計算式 | 1-(0.1×10点)=0 | 1-(0.1×10点)=0 |
対戦後 | 80点(+0) | 70点(-0) |
実は、ポイント差が「10点」あると、A国は勝利してもポイントが増えないんだ。
一方、負けてしまったら下記のように大きくポイントを失うことになるよ。
ポイント差=10点 | A国 | D国 |
対戦前 | 80点 | 70点 |
計算式 | 1+(0.1×10点)=2 | 1+(0.1×5点)=2 |
対戦後 | 78点(-2) | 72点(+2) |
上位国にとって、勝っても0点、負けたら-2点というのは、あまりにも不利な条件だと言えるかもしれないね。
ちなみに、ポイント差は上限が10点と決められているので、たとえ「15点」や「20点」のポイント差があっても、増減する点数は2点のままだよ。
これが、ラグビー世界ランキングの基本的な仕組みなんだ!
その他のルール
ラグビー世界ランキングの「基本的な仕組み」を理解したところで、ここからは細かなルールを説明していくね。
ホームアドバンテージ
ラグビーをはじめ、スポーツには「ホームアドバンテージ」というものがあって、自国(ホーム)で戦えるチームは、相手より優位であるとされているんだ。
長距離移動もなく、慣れ親しんだスタジアムでの試合。気候、環境、そして何よりサポーターの大声援。
だからラグビー世界ランキングでは、ホームで戦う国(チーム)に対して、少し不利な条件が設定されているよ。
その条件とは、ホームチームのポイントに一時的に3点を加算して、上記計算を行なうこと。
例えば、80点のA国と、75点のC国が、A国で試合をしたとするよね。
本来であればポイント差は「5点」だけど、A国には「ホームアドバンテージ」があるため、ポイントが一時的に3点加算されて「83点」という扱いになるんだ。
つまり「83点-75点」でポイント差は「8点」ということ。
もし、上位国のA国が、ホームアドバンテージがあるにもかかわらず下位国のC国に負けた場合、ポイントの変動は下記のようになるよ。
ポイント差=8点 | A国 | C国 |
対戦前 | 80点+3点=83点 | 75点 |
計算式 | 1+(0.1×8点)=1.8 | 1+(0.1×8点)=1.8 |
対戦後 | 78.2点(-1.8) | 76.8点(+1.8) |
ちなみに、同条件で「C国」で試合が開催された場合は、C国が「75点+3点=78点」になるので、両国のポイント差は「80点-78点=2点」ということになるんだ。
「A国」でも「C国」でもない、全く違う国で戦う場合は、どちらにもホームアドバンテージは無いのでこのルールは適用されないよ。
試合内容(得失点差)
これまでに説明したルールは、「勝った」か「負けた」かだけでポイントが決まっていたけど、実は「試合内容」もポイントに影響してくるんだ。
その試合内容とは「得失点差」のことで、得失点差が16点以上あった場合は、得られるポイント、失うポイントが全て1.5倍になるよ。
例えば、80点のA国と、75点のC国が対戦し、30対10でA国が勝利した場合、点差は20点(16点以上)開いたことになるよね。
ホームアドバンテージはどちらの国にもないと仮定して、この試合でA国が得られるポイントは下記のようになるよ。
ポイント差=5点 | A国 | C国 |
対戦前 | 80点 | 75点 |
計算式 | 1-(0.1×5点)=0.5 | 1-(0.1×5点)=0.5 |
得失点差 | 0.5×1.5=0.75 | 0.5×1.5=0.75 |
対戦後 | 80.75点(+0.75) | 74.25点(-0.75) |
そのため、世界ランキングのことを考えると、16点差以上付けて勝利した方が得られるポイントは大きく、また敗戦したチームは16点差未満に抑えることができれば失うポイントを小さくすることができるんだ。
ラグビーワールドカップ
その他のルールとして、4年に1度開催される「ラグビーワールドカップ」では、増減するポイントが通常の2倍になるよ。
例えば、80点のA国と、70点のD国がラグビーワールドカップで対戦して「20対30」でD国が勝利したとするよね。
その場合、ポイントの増減は下記のようになるよ。
ポイント差=10点 | A国 | D国 |
対戦前 | 80点 | 70点 |
計算式 | 1+(0.1×10点)=2 | 1+(0.1×10点)=2 |
ラグビーW杯 | 2×2=4 | 2×2=4 |
対戦後 | 76点(-4) | 74点(+4) |
ラグビーワールドカップでは一度の試合で「4点」も動くことがあるんだね。
ちなみに、2015年に開催されたラグビーワールドカップ・イングランド大会で、下位国の「日本」が上位国の「南アフリカ」に劇的な勝利を収めたと思うけど、そのときのポイント変動は下記の通りだよ。
ポイント差=13.09点 | 南アフリカ | 日本 |
対戦前 | 85.15点 | 72.06点 |
世界ランク | 3位 | 13位 |
試合結果 | 34対32で日本が勝利 | |
計算式 | 1+(0.1×10点)=2 | 1+(0.1×10点)=2 |
ラグビーW杯 | 2×2=4 | 2×2=4 |
対戦後 | 81.15点(-4) | 76.06点(+4) |
世界ランク | 6位(-3) | 11位(+2) |
ポイント差が「13.09点」あったにもかかわらず、勝利を収めた日本。
いかにこの試合が凄かったのかがわかるよね。
このように、ラグビーワールドカップではたった1試合でも「世界ランキング」の順位が大きく変動するんだ。
まとめ
今回は、世界ランキングの決め方と、その計算方法について解説したよ!
かなり複雑だったと思うけど、理解してもらえたかな?
世界ランキングの仕組みがわかれば、テストマッチを見るときもまた違った楽しみ方ができると思うので、ぜひ頭の片隅に入れておいてね!
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